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「メモリデータが消えてしまった!」
焦らず確認作業
昔撮影した写真などを確認しようと思って、SDカードを読み込んだ際にデータが消えていた経験などはないでしょうか。SDカードは小さくて容量もそこそこ大きいので便利ですが、ハードディスク等に比べ少し耐久性が劣るので、そのような事態に直面することも多いです。そのような場合には、まずスマホなど他のハードで読み込めないかを確認しましょう。
しかし、読み込むことができなかった場合にも諦めるのはまだ早いです。この記事では、SDカードのデータが消えてしまった場合の復元方法についてご紹介していきます。
メモリカードの種類と違い
SDカード
SDカード登場時からあるスタンダードなサイズのメモリカードです。主にデジタルカメラ、ビデオカメラなどに使用されています。格納できる容量によってSDHCカード、SDXCカードなどがありますが、全てをまとめてSDカードと呼ばれることが多いです。
microSDカード
現在最も小さいサイズのSDカードです。スマホやタブレット、小型のデバイスではmicroSDカードが使われていることが多く、今や通常のSDカードよりも目にする機会は多いかもしれません。こちらもSDカードと同様に、格納できる容量によってmicroSDHC、microSDXCなどの規格があります。また、SDカードアダプターがあれば、microSDでも通常のSDカードスロットに挿入して使用することができます。
「SDのメモリが消えた!」と思ったらまず確認
認識しない原因はデータ破損?(誤って初期化してしまったなど)
SDカードのメモリが消えてしまった原因には大きく分けて2通りが存在します。一つ目は論理的なデータ破損です。この意味としては書き込みエラーなど何らかの原因で論理的にデータが壊れてしまったことを指します。誤ってSDカードを初期化してしまったなどもこちらに分類できます。
基本的に論理的なデータ破損が起こった時点ではデータ自体はSDカード上に残っており、読み込めない状態になっていると考えると良いです。ここで気をつけなければならないのは、データ破損が起こった領域については何も入っていないと認識されることも多く、違うデータを書き込めてしまう場合があります。違うデータが書き込まれてしまうと、復旧はほぼ不可能になってしまいます。データ破損が起きた場合には、そのSDカードの使用はすぐに止めるのが良いでしょう。
SDカードの破損
二つ目は物理的なSDカードの破損です。水没や物理的な破壊など、破損の仕方は色々あります。破損の仕方によってはどうしても復元できない場合や、一部分どうしても復元できないデータが存在することもあり得ます。物理的な破損の場合は、復元できるかは運によるということを覚えておいてください。
SDカード:絶対にやってはいけないこと
分解はNG!
SDカードが認識しない場合に、絶対に分解してはいけません。SDカードは電気で読み込みを行いますので、ハードディスクなどのように物理的にどこかが動かなくなったから読めない、ということはありません。ですので、分解は全く意味がありません。
そのうえ、ディスクを物理的に破壊して状況が悪化してしまう可能性があります。データを復元したいなら絶対に行わないようにしましょう。
「初期化」はNG!
SDカードが認識しない場合に、初期化もNGです。SDカードを何も認識しない場合もあるのですが、何も入っていないSDカードと認識されてしまうこともよくあります。
その場合、「フォーマットしますか?」などのメッセージが出てきて、うっかり初期化してしまうこともあり得ます。初期化を行ってしまうと、SDカードからデータを復元できる可能性が減ってしまいますので注意するようにしてください。
主なSDカード復元方法
自力で(お勧めしない理由)
SDカードの復元方法として、何も使わずに自力で復元することは不可能です。できることと言えば、データ読み取り部のクリーニングや、分解、初期化などになりますが、それらはデータ復元に対して何の意味もありません。また、それをやったことにより状況がさらに悪化してしまう可能性もありますので、自力で解決しようとするのはやめましょう。
SDカード無料ソフト
少なくともSDカードの復元方法としては、SDカード無料ソフトを使用したいところです。SDカード無料ソフトは後ほど詳しく説明しますが、無料とはいえ有料ソフトに劣らない機能のものもありますので、試してみる価値はあります。
SDカード有料ソフト
SDカード無料ソフトは有料ソフトの機能が制限されているものが多いです。そのため、SDカードの無料ソフトで使い勝手や効果を試して、そのソフトの有料版を購入するという方法もあります。有料ソフトは決して安くはありません。そのうえ、購入したものの復元できないというリスクもありますので、慎重に判断するようにしてください。
SDカード復旧アプリ
スマホに使用しているSDカードを復旧する場合には、SDカード復旧アプリを使用する方法もあります。現在はパソコン用のソフトのスマホ版などがリリースされていますので、それらを試してみるのも良いでしょう。
SDカード復旧業者
自分自身では復旧できそうもない場合、データ復旧を専門にしている業者に依頼する方法もあります。専門的なスキルを有していますので、自分で復旧を試みるよりデータ復旧の可能性は上がります。復旧業者のメリットとデメリットについては後ほどご説明します。
SDカード製造会社
SDカードを自分で復旧したり、復旧業者に依頼することを考える前に、まずはSDカードのメーカーを確認してください。SDカードのメーカーによっては自社でデータ復旧サービスを提供している場合もあり、その場合に自社のSDカードであれば無料で復旧サービスを受けられる場合があります。
SDカード復元方法、どれを選ぶべき?
無料ソフトのよい点
無料ソフトの良い点は、やはりお金がかからないという点です。無料なのでデータ復元の可能性は低そうに見えますが、故障のシチュエーションによっては高い復元率を示すこともあります。まずは無料ソフトで復元を試みてみるというのも選択肢としては十分ありです。
無料ソフトのよくない点
無料ソフトの良くない点は、状況に応じては全くデータが復元できないこともある、というところです。やはりお金を取るだけあって、復旧業者の方が高いデータ復元率を実現できることの方が多いです。
また、誤って初期化したなどの論理的なエラーについては、無料ソフトでもそれなりに復元できることが多いのですが、SDカードが水没して故障した、破損したなどの物理的な故障については無料ソフトでは対応できません。
復旧業者のよい点
復旧業者の良い点としては、データ復元の可能性が格段に上がる点です。復元専用のマシンやソフトを持っており、データ復元の経験も豊富に持っている業者であれば、無料ソフトとは比較にならないことはお分りいただけると思います。
復旧業者のよくない点
復旧業者の良くない点としては、やはりその費用の高さになります。これは復元するSDカードの状態にもよるのですが、安くても3万円前後、高いと20万円を請求される場合もあります。
また後述しますが、悪徳業者に当たってしまうと高額な費用だけがかかり、データも復旧できないリスクもあります。ですので、SDカードの中身がどうしても復元したいものなのか、自分にとって20万円の価値があるのか、ということを熟考されることをオススメします。
悪徳データ復旧業者に注意!事前チェック6点
その業者は成功報酬型?
信頼できるデータ復旧業者かどうか判断するのに、成功報酬型かどうかを見るのも一つのポイントです。SDカードのデータは必ず全てが復旧できるわけではありません。しかし、データも復旧できない、高額な費用は払わなければならないでは納得しがたいものがあります。成功報酬型ではデータ復旧が成功しなければ費用を支払う必要はありません。
つまり、データ復旧が失敗した際の費用のリスクを業者が負ってくれるということです。これはデータ復元の成功率が高くなければできないことでもありますので、成功報酬型であれば技術力には一定の信頼がおける業者だと判断することができます。
検査費、診断費、作業費は?
SDカードのデータ復旧にかかる費用は標準的な請求項目というものがありません。ですので、SDカードの復旧費用が安い業者を見つけたと思って申し込んだら、検査費や診断費などよくわからない費用が積み重なって高くなってしまうということもあり得ます。優良な業者であれば、検査費や診断費など必要な費用がホームページに明記されていますので、そのような業者を選ぶようにしましょう。
「復元可能なファイル」か事前に診断、検査依頼(検査、診断費にも注意)
優良な業者の中には、初期調査の後に復元可能なファイルの一覧を示してくれる業者もあります。成功報酬型の業者の中には、一つでもファイルが復元できれば成功とする悪徳業者もあるようなので、復元できる一覧があればより安心できます。
ただし、復元可能なファイルの一覧を出すことによって、検査費、診断費が発生することもあります。目当てのファイルが含まれていないためキャンセルしようとしたら、キャンセル料を請求されてしまったりということも考えられます。費用については隅々までチェックするようにしてください。
作業にかかる時間は?
優良なデータ復旧業者は、障害の種類に対してどの程度復旧に日数がかかるかをホームページ上で公開しています。作業日数が公開されていない場合でも、作業期間の見積もりの返答期限を設定しているところも多いです。作業期間が明らかにならないのは、後々トラブルの元になりますので必ず期限設定を行ってくれる業者を選びましょう。
機密情報やプライバシー保護管理は信用できる?
SDカードには個人的なデータが入っていることが多いので、データの管理やプライバシーの保護などをきっちり行ってくれる業者を選びたいものです。一つの目安ですが、情報セキュリティーの第三者認定であるISO27001を取得している業者は、比較的安心できる業者だと言えます。
データ復旧後の業者でのデータ消去などが明らかにされていない場合は、個人情報の扱いが適当である業者の可能性がありますので、利用は避けたほうが良いでしょう。
SDカードデータ復旧業者、どこがおススメ?
アドバンスデザイン
アドバンスデザインは日本初のデータ復旧専門企業です。1995年の創業から日本の公的機関、大手企業などのデータ復元を行ってきた、実績十分の会社です。
ハードディスク等で有名なSeagate社の復旧サービスであるSeagate Recovery Services(米国No.1)との業務提携により、業界トップの技術力・ノウハウを有しています。SDカードについて初期診断は送料負担のみで行ってくれます。
【料金】
ダメージレベル1(簡単な解析で復旧可能な場合):¥30,000~
ダメージレベル2(高度な解析が必要な場合):¥50,000~
ダメージレベル3(ハードウェアの軽・中度の障害を含む復旧が困難な障害):¥65,000~
ダメージレベル4(復旧が困難で高度な設備と技術が必要な障害):別途見積もり
Buffalo
Buffaloは1980年代からパソコン周辺機器を取り扱っている国内メーカーで、ハードディスクやSDカードなどでその社名を聞いたことのある人も多いはずです。そのメーカーというバックグラウンドから、データ復旧に関するノウハウも多数保有しており、データ復旧の技術力の高い会社です。
また、Buffaloのサービスは価格が明瞭で、不透明な追加費用が発生しないようになっています。診断・見積もり・キャンセル料は無料、復旧メディア代金は込み、データ容量に対しての追加料金なしなど、安心して申し込むことができます。Buffaloのサービスで一番特徴的なのは、復旧対象がBuffalo製品で、商品の保証期間内、障害レベルが論理的で軽度の場合には無償で復旧サービスが受けられるところです。BuffaloのSDカードが故障した場合には、まずこちらを検討されるのがオススメです。
【料金】
障害レベル軽度:¥30,000(論理障害)、¥60,000(物理障害)
障害レベル中度:¥45,000(論理障害)、別途見積もり(物理障害)
障害レベル重度:別途見積もり
データレスキューセンター
データレスキューセンターも、国内の大手企業との付き合いがある実績あるデータ復元会社です。データレスキューセンターは重度の物理障害以外は初期調査費用が無料で、なおかつ見積書と同時に復旧可能なデータの一覧を提示してくれます。データの中身を確認した上で、復旧作業を依頼するか判断できるのは嬉しいポイントです。
急ぎの方には別途費用がかかりますが初期調査を迅速に行うエクスプレスサービスが用意されています。通常でも媒体到着後から48時間以内に報告と迅速ですが、一刻も早く復元したい人にはオススメのサービスです。価格面では論理障害に対する費用が安いので、普通に使っていて破損してしまった場合などはデータレスキューセンターで費用を安く抑えることができます。
軽度の論理障害:¥8,800~¥19,800
重度の論理障害:¥19,800~¥39,800
軽度の物理障害:¥29,800~¥59,800
重度の物理障害:¥59,800~¥149,800(別途調査費用¥4,800)ここにテキストを入力
A1データリカバリー
A1データリカバリーはデータ復旧専門の会社で、国内だけで61,000件の実績ある会社です。A1データリカバリーでは、かつてHDDの設計製造を行っていたスペシャリストがデータ復旧を行なっており、確かな技術力で官公庁、法人、個人問わず様々な層からの依頼に対応しています。A1データリカバリーのデータ復旧料金で特徴的なのは、メーカー割引がある点です。BUFFALO、I-O DATA製のSDカードであればデータ復旧費が最大30%割引になります。
また、A1データリカバリーはこれまでご紹介した業者とは違い、データ復旧の容量で料金が変動します。容量が大きいSDカードの場合には他の業者から検討された方が良いかもしれません。
¥32,500~(別途調査費用¥5,000)
SDカードデータ復元無料ソフト、どれがおススメ?
Recoverit Free
Recoverit Freeは中国のソフトウェア会社Wondershareが開発したデータ復元ソフトです。復元できるデータの種類は、普通の人が使用するファイルであればほぼ全てが対応しています。
ただし、Recoverit FreeはRecoverit製品の無料版の位置付けですので、機能が制限されています。合計100MBの容量までしか復元できないので、それ以上の容量のSDカードを復元する場合には別ソフトか、製品版を購入することを検討してください。製品版であるRecoverit Proは¥5,980で購入できます。
USBメモリ復旧
USBメモリ復旧は株式会社LIVEDATA作成の無料データ復元ソフトです。名前はUSBメモリとなっていますが、SDカードの復旧にも対応しています。データ復旧容量、使用回数等に制限はありませんが、対応しているファイルシステムはFAT、exFATのみです。NTFSやMac専用フォーマットなどを使用している場合には、ソフトを起動してもSDカードの領域が認識されませんので注意してください。
NTFS等のフォーマットのSDカードを復元する場合には、別の有料ソフトで実施することができます。有料ソフトの復旧天使Standardは¥7,560~購入できます。
ファイナルデータ10プラス
ファイナルデータはデータ復元ジャンルで19年連続シェアNo.1のソフトです。こちらでご紹介するのは、ファイナルデータの無料体験版になります。ファイナルデータ無料体験版については、残念ながらデータ復元機能を使用することはできません。ですが、復元データのプレビューまではでき、データの復元可能性を調べることができます。目当てのファイルの復元が可能であれば、ファイナルデータの製品版の購入を検討することをオススメします。ファイナルデータ11プラスの製品版はダウンロード版で¥6,980で購入できます。
DiskDigger
DiskDiggerはデータ復元で評判の高いフリーソフトです。破損したデータの復元にも強く、他のソフトで復元できなかったデータについても復元できた口コミもあります。こちらのソフトは復元能力が高いのですが、一つだけ難点があります。それは、復元するファイルの保存は1ファイルずつ行わなければならない点です。目当てのファイルが数個であれば強くオススメするソフトですが、数百〜数千あった場合にはあまりオススメできません。ただし、DiskDiggerの有料版であれば、この保存を一気に行うことができます。DiskDiggerの有料版は14.99ドル、日本円に換算すると1,600円程度ですので、他の有料ソフトよりもお得にデータ復元することができます。
EaseUS Data Recovery Wizard Free
EaseUS Data Recovery Wizard Freeも評判の高いデータ復元ソフトのうちの1つです。このソフトはVectorプロレジ大賞を受賞しています。つまり、無料版を試して有料版を購入した人が多かった、データ復元能力が高かったソフトであることを示しています。
無料版では500MBまでの復元(SNSでソフトをシェアすると2GBまで可能)ができます。製品版は¥8,900と他のソフトに比べて安くありませんので、無料版で試して効果が高そうであれば購入を検討されることをオススメします。
まとめ
SDカードのメモリが消えたと思ったら、まず確認すること
ここまででSDカードのデータ復元方法や、オススメのデータ復元業者、フリーソフトについてご紹介してきました。SDカードのメモリを復元する方法はたくさんありますが、より完全な形で復元したいなら状況を悪化させる余計なことをするのはやめ、まずは状況を確認してください。そして破損の状況や中に入っているデータの重要度に応じて、無料ソフト、有料ソフトやデータ復元業者を検討してみることをオススメします。