カメラ

一眼レフ初心者必読!作例で見る奥行きある風景写真の撮り方 光、撮影設定、撮影技術

風景写真とは

風景写真は自然だけを撮影するものではない

風景写真と聞くと、自然の風景などを思い浮かべる方が多いと思いますが、正確に説明すると、風景写真とは、自然風景だけでなく、人工的な風景といわれる街並みや、建物なども含まれます。その為、山や海などの自然だけでなく、町などで撮影する写真も、風景写真となります。風景写真を撮るときは、初めからその景色を狙って撮影する場合と、たまたまその景色に出会い、撮影する場合とありますが、どちらも、写真としてその景色を残しておきたいと思うから、写真を撮っているのだと思います。しかし、いざ写真を撮ってみると、伝えたい迫力が、いまいち写真に表れなかったり、肉眼で見るような、感動的な写真を撮ることができない。という経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。プロの写真家が撮影した場所と同じ場所で、素人が撮影をしても、プロと同じような写真を撮ることはできません。それは機材の問題ではなく、ちょっとした撮影のコツに秘密があります。今回はだれでも実践できる、風景写真の撮り方や撮影技術をご紹介していきたいと思います。

風景写真を撮るうえでのポイント

カメラの3大要素を理解しよう

シャッタースピード

まず、綺麗な写真を撮影するためには、操作をする機材について、最低限の知識は抑えておかなければなりません。カメラについては、3大要素ともいわれる、「シャッタースピード」・「F値」・「ISO感度」の仕組みを理解できれば、様々な撮影シーンに対応できるので、しっかりと理解しておきましょう。「シャッタースピード」はその名のとおり、シャッターのスピードのことです。具体的にいえば、シャッターボタンを押したときに、カメラ内がどのような仕組みで動いているかというと、シャッターボタンを押すと、まずカメラボディ内の、撮像センサーの前にある幕が、下から上に開き始めます。そして後を追うように、2枚目の幕が、下からセンサーを覆いかぶさるように、上がっていきます。この最初の幕が開いてから、2枚目の幕がセンサーを覆いかぶさるまでの時間を、シャッタースピードといいます。この撮像センサーが露出している間は、レンズから入ってきた光を取り込み続けるため、シャッタースピードは、光を取り込む時間に影響を及ぼすことになります。そのため、シャッタースピードが長いと、光を取り込む時間も長くなり、明るい写真となります。またシャッタースピードが長いということは、シャッターが開いている時間に写るものすべてが記録されることになるので、動きのある被写体は、ブレた形で写真になってしまいます。

F値

F値は、別名「絞り値」ともよばれ、その名のとおり、レンズ内の絞られている度合いを表します。レンズの中には、絞り羽根という機構があり、その絞り羽根を操作することにより、レンズ内をとおる光の量を調節することができます。F値の特徴としては、数値が小さいほど、ピントが合っている場所以外の、ボケ味が強く出るということと、逆に数値が大きいと、ピントの合う範囲(被写界深度)が深くなり、解像度が増す、という特徴があります。ポートレート撮影などの場合は、被写体より後ろの背景をボカした方が、より被写体に目を向けやすくなることから、基本的にはF値は一番小さい数値で撮影することが多いです。逆に、全体的にピントが合っている方が美しいとされる風景写真などの場合は、F値を大きい数値に設定することが多いです。しかしF値は大きければ良いという訳ではなく、数値が大きすぎると、回析現象というものが発生し、逆に解像度は落ちてしまう為、一般的にはF8~11ぐらいに設定することが多いです。ボカ味を生かした写真を撮りたい時は、F値は小さく、全体的にピントを合わせたいときは、F8~F11と覚えておくとよいです。

ISO感度

ISO感度は、レンズから入ってきた光を、センサーがどれぐらいの感度で、写真にするかを決める数値です。レンズから入ってきた光が100だとするならば、ISO感度が高ければ、その光は500や1000といったように大きくなり、結果として写真は明るくなります。逆に低ければ、暗い写真になってしまうのが特徴です。その為、光が少ない室内などの暗所で撮影をおこなう場合には、ISO感度を上げて撮影します。しかし、このISO感度はあくまでも感度の話ですので、先ほどの例えでいう、100の光を500や1000に増幅するとなると、限られた光の量で、無理やり明るくする訳ですから、その分画像は粗くなってしまいます。そして、その粗さは、ノイズという形で写真に現れます。このノイズが多いと、せっかくの写真が台無しになることもあるので、なるべくISO感度は低く設定することを、心がけてください。写真を撮る際に明るさが足りない場合の最終手段と考えておくとよいです。

構図とは

同じ立ち位置でも、カメラの向きや、焦点距離、そしてアングルなどで、写真は大きく変わります。初心者が風景写真を撮った場合に、いまいち何か思っていたものと違う写真になってしまうのは、この構図が主な原因です。逆に言えば、この構図さえ意識するだけでも、写真の見栄えは、見違えるほどに良くなります。ただし、構図には種類が多く、それぞれの撮影シーンに適した構図を用いらなければならないので、難しいと思われがちですが、基本的な構図をマスターすれば、あとは構図を組み合わせて使用したりすることで、自己表現にもつながります。今回は代表的な構図をいくつか紹介しますので、ぜひ覚えておきましょう。

構図の種類と選び方

日の丸構図

一番有名な構図といえば、日の丸構図です。日の丸と同じで、被写体をど真ん中に配置することで、被写体を強調することができます。シンプルに被写体を見せたいときには、日の丸構図が一番です。

三分割構図

写真となる枠の中を縦と横をそれぞれ3分割し、その線が交わる箇所に被写体を配置することで、被写体を強調させます。右上に被写体を配置すれば、当然反対側に余白ができますが、あえてこの余白を入れることで、抜け感といわれるおしゃれな写真を撮ることができます。また、最近のカメラでは、設定でグリッド線を表示させることができる機種が多くなり、このグリッド線を使って撮影すれば、簡単に3分割構図を使って撮影することができます。

対角線構図

直線的な長い被写体や直線状に並んでいるもの、橋や新幹線などを撮影する際によく用いられます。その被写体を対角線上に配置することで、奥行きやダイナミックさを表現することができます。対角線構図を使用して、さらにカメラを傾けて撮影をすると、また変わった雰囲気のある写真になります。直線的なもの以外にも、料理写真などで用いられることも多いです。

シンメトリー構図

左右対称に被写体を配置することで、安定感のある写真にすることができます。左右をどれだけ対象にできるか、そして水平がきれいに保たれているかが、綺麗なシンメトリー構図で撮影するコツです。シンメトリー構図は主に、直線の長い道や、神社の鳥居、左右対称の建物などでよく用いられます。

三角構図

画面の中に三角形を配置し、その三角形の中に被写体を配置することで、どっしりとした安定感のある写真に仕上げることができます。三角形なので、余白もできるため、抜け感も表現することができます。また、有名な、レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作「モナ・リザ」も三角構図だといわれています。

放射線構図

画面の1点から、放射状に伸びるように被写体を配置することで、奥行きや、広がりなどを表すことができます、広角レンズなどで用いれば、広角レンズ特有の歪みである「パース」を利用して、スピード感なども表現することができます。商店街や、奥行きのある場所などで用いられることが多い構図です。

曲線構図

アルファベットのCやSなどを画面何に作り出すことで、自然と視線を、曲線へ導くことができます。曲線を入れることで、放射線構図と違った奥行き感や、柔らかさを表現することができます。基本的には、曲線になっている被写体などはこの構図で撮影することが多いです。直線になっていない橋や、道路、浪打際の曲線を上手に取り入れて撮影することもできます。

光の向きに気をつけよう

風景写真にとって、光の向きを意識することは、非常に重要な要素です。綺麗な色味をだすことや、コントラストを出す際などには必須です。空の色を綺麗に出したい時などは、太陽に背を向けるような向きで、撮影をおこなわなければ、綺麗な青空を写すことはできません。太陽が真上にある正午過ぎの時間帯は特に難しいです。また山頂からの眺めや、ビル群などがある街並みを撮影する際は、斜めからの光、斜光を取り入れることで、陰影がつき、自然と奥行き感や立体感を得ることができます。ただし、影を入れすぎると、立体感どころか、重たい印象の写真になってしまいます。理想としては、画面全体の3割ぐらいの影があるのが理想的です。

測光ポイントをどこにするのかを考えよう

絞り優先モード(Aモード)で撮影する際は、自分が指定したF値によって、シャッタースピードとISO感度をカメラが自動でコントロールし、露出を決めています。そのカメラが、適正と判断する露出を決める際に、画面のどこの部分を適正な明るさにするかを決めるのが、測光です。測光モードにもカメラの機種によって異なりますが、様々な種類があり、画面全体が適正露出になるように設定するものや、ピンポイントで場所を指定しう、その部分が適正露出になるように設定するものなどがあります。斜光などを取り入れ、コントラストの強い写真にする場合などでは、この測光モードを駆使してどこを優先的に、適正露出にするのか決める必要があります。

奥行き感をだすには、3つのポイントを押さえよう

前景・中景・後景を取り入れる

風景写真において、構図は一番に大事ですが、その次に大事なのは、写真に奥行き感を出すことです。特に広角レンズを使用した場合は、広角がゆえに、写真に写る情報量が多くなりますので、自然と写真に奥行き感が出づらくなってしまいます。そこで奥行き感を出すためには、3つの要素を写真に取り込めば、自然と奥行き感がでます。その3つの要素は、「前景」・「中景」・「後景」の3つの要素を入れることです。この3つを入れることにより写真に奥行き感が出て、より立体的な写真になります。画像1では前景として足元の山、中景として雲、後景として空と太陽を配置しています。それにより、奥に吸い込まれそうな、奥行き感が生まれています。

パースを上手に使う

風景写真では、広角レンズや、超広角レンズなどの、焦点距離の短いレンズを使用することが多いですが、この広角レンズには特徴があり、写真にゆがみが生じるということです。専門用語でいえば、「パース」といいます。このパースは、決して悪い現象ではなく、上手に使うことで、遠近感をだすこともできます。パースでは、手前にあるものが大きく、そして歪んだ状態で写されます。逆に捉えれば、近くものは大きく、遠く物は小さく、ということになります。この遠近感を上手に出すことができれば、広角レンズを上手に使用できている証拠でもあります。

大きさの異なる被写体を入れる

対象となる被写体を写した時に、スケール感などが伝わらない時があると思いますが、そのような場合には、対象の被写体とは別に、異なる大きさの被写体を画面内に入れることで、対比となり、よりメインの被写体の大きさを強調することができます。画像2では、滝の大きさを伝えやすいように、人をあえて入れることで、滝の大きさを強調させています。

撮影に必要な機材

カメラ

風景写真を撮影する際に、使用するカメラはなるべく、高画素のカメラが好ましいです。風景写真は高解像度になればなるほど、パキっとした綺麗な写真にすることができるため、理想としては、フルサイズセンサーで、4000万画素台、もしくはそれ以上の高画素のカメラとなります。もちろんAPS-Cセンサーの2000万画素台のカメラでも、十分綺麗な写真を撮影することはできます。

レンズ

標準ズームレンズ

風景写真だけに限らず、様々な撮影シーンに対応できる標準ズームレンズは、所持していた方が便利です。風景写真は、いつ、どこで綺麗な景色と出会えるかは、わかりませんので、イレギュラーな撮影シーンでも対応できる標準ズームレンズは必須のレンズともいえます。

望遠レンズ

風景写真では、望遠レンズは使わないと思っている方は多いのではないでしょうか。風景写真では、一般的に標準域か、広角域のレンズを使用することが多いのは事実ですが、風景写真の中でも、あえてピンポイントで狙うことで、個性を出した写真にすることができますし、なにより、自分が伝えたい、見せたい被写体を大々的に伝えることができます。どこの部分をどの範囲で切り取るかを判断するのは、中々難しいですが、撮影を重ねるにつれて、段々と、感覚をつかむことができます。

単焦点レンズ

単焦点レンズは、他のズームレンズと異なり、焦点距離が固定されているので、使いづらいイメージがありますが、ズームができない分、写真の解像度や写りは非常に綺麗なものです。単焦点レンズの一番の魅力ともいえます。風景写真で使用する単焦点レンズは主に広角、超広角レンズとなるので、12mm、14mmなどの単焦点レンズを購入することをおすすめします。

フィルター

NDフィルター

NDフィルターは、レンズの先に装着して使用するアクセサリーです。わかりやすくいえば、レンズに装着するサングラスのようなものです。これを装着することにより、レンズに入ってくる光の量を減らすことができ、昼間などの明るい場合でも、スローシャッターを使用して、水の流れなどを絹の糸のように表現することができます。NDフィルターには、光をカットする量が固定されているものと、可変式のものがありますが、可変式の方を購入しておけば、その撮影環境に応じて、すぐに対処できるのでおすすめです。

PLフィルター

PLフィルターもレンズの先に装着するアクセサリーの1つですが、NDフィルターは、光の量をカットする効果があったのに対し、PLフィルターは光の入ってくる角度を変えるものです。たとえば、日中に海を撮影する場合、太陽光の影響で、海に光が反射し、中々きれいな海を撮影することは難しいですが、PLフィルターを使用することで、海の光の反射を消すことができるため、海や湖、川など、水関係の被写体を撮影する際は、必須のアクセサリーです。

撮影時のカメラの設定

撮影モードは絞り優先モード・マニュアルモードがおススメ

風景写真を撮影する際は、基本的にマニュアルモードか、絞り優先モードで撮影しましょう。絞り優先モードだと、自分で決めるのは、絞り値だけですので、初心者でも簡単に適切な露出で撮影を楽しむことができます。

シャッタースピード

マニュアルモードで撮影する際は、シャッタースピードも自分で設定しなければなりませんが、シャッタースピードは、基本的に、手振れをおこなさい程度に設定しておきます。目安としては、装着しているレンズの焦点距離を参考とし、「1/焦点距離」のシャッタースピードにしていれば、手振れは発生することは、ほとんどありません。風景写真では基本的に三脚を使用して撮影するようにするのがベストです。

F値

F値は、上記にもあるように、風景写真を撮影する際は、なるべく絞って撮影します。具体的な数値としてはF8~F11ぐらいの間に設定しておくと、間違いないです。

ISO感度

ISO感度は、日中であれば、基本的にISO100~500の間で大丈夫だと思います。それぞれの撮影環境に合わせて調整してください。ISO100に設定した場合でも、写真の露出がオーバーしている場合は、シャッタースピードを速くして、調整をおこないます。

ホワイトバランス

どんなに、良い構図で、良いカメラアングルで、適切な設定で写真を撮影しても、ホワイトバランスがおかしければ、その写真は台無しになります。その被写体に適したホワイトバランスを設定することで、被写体をより綺麗に写すことができます。冬山であれば、寒色系に、秋など紅葉撮影の場合は暖色系に、といったように、それぞれの季節や被写体によって、その都度適したホワイトバランスを設定しましょう。

まとめ

構図だけでも、しっかりと考えれば、一眼レフカメラに限らずすべての見違えるような写真が撮れる

今回ご紹介した基本的な構図を意識するだけでも、写真の印象は大きく変わります。またこれらの知識は、一眼レフカメラやミラーレスカメラで撮影する場合以外でも活用することができ、スマートフォンなどで撮影する際にも、この構図を意識すれば、まるで一眼レフカメラで撮ったようなクオリティの高い写真になります。たかが構図だと思っている方も多いかと思いますが、初心者にとってもプロカメラマンにとっても、非常に大事な知識ですので、まずは様々な構図で撮影をおこなってみて、それぞれの構図が与える印象や効果などを実感することで、写真はみるみる上達していくと思います。