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ISO感度とは?仕組みを理解して思い通りに写真を撮影しよう!

ISO感度の基礎知識

「ISO感度」ってなに?

ISO感度とは、もともとはフィルムの感度を表す規格で、国や会社によってバラバラだったフィルム感度の基準を国際的に統一し、取り決めたものです。

ちなみに読み方は「イソカンド」だったり「アイエスオーカンド」。フィルムの感度は統一されても読み方は統一されていません。

フィルムの規格は古くはASA(米国標準規格)とDIN(ドイツ工業規格)の「ツートップとその他」といった割合構成だったのですが、ISOが「ISO感度」として統一しました。ISOとは、工場などで大きく「ISO9000取得」とか掲げられているあのISOと同じで、International Organization for Standardization。 国際標準化機構の略です。例えば車関係の規格はTC(technical committe)22で、写真関係の規格はTC44で取り決めています。

その昔、カメラがまだフィルムで撮影していた頃。
カメラの機構に「ISO感度」を変えるという概念はありませんでした。感度はカメラではなくフィルムの特性で、感度の異なるフィルムを装填することが、感度変更だったのです。
そしてその頃はそのフィルムの感度に合わせたシャッター速度や絞り値も全てカメラマンが設定していました。現在のデジタルカメラのように「上手く撮れていないからデータを消して取り直し。ポチ。」というような時代ではありません。フィルムだって安いものではありません。やり直しの効かない一発勝負です。さぞかし丁寧に一枚一枚写真を撮っていたことでしょう。

その後1980年代に入り、カメラ側でフィルムカートリッジからISO感度や撮影可能枚数などのデータを認識できるようになりました。そのおかげでカメラ側でフィルムに応じたシャッター速度や絞りをオートで設定できるようになりました。85年になると、オートフォーカスも登場して写真の失敗もほとんどなくなり、一気にカメラが普及することになりました。
と、ここまでがISO感度の歴史です。

フィルムがどれくらいの光量でどれくらい感光するのかという数値であったISO感度が、現在のフィルムを使わないデジタルカメラ主流の中で、どのような役割を担っているのでしょうか。

デジタルカメラにおけるISO感度の役割は、得られ”る”光量に合わせた感度(光に対する敏感さ)を調整する」です(得られ”た”ではないところがミソです。どれだけ得られるのか予測する必要があります。)。今も昔もカメラの仕組みは、レンズを通して取り込んだ光をフィルム(イメージセンサー)に反応させて画像にするというものです。入ってくる光の量が多すぎると、写真は真っ白になってしまいますし、少なすぎれば真っ黒になります。

光の量が多いときにはISO感度を下げて(数値を小さくして)感光しにくい状態(光を増幅しない状態)にすれば、白飛びのない色が鮮やかに表現された写真になりますし、反対に光の量の少ない時には、ISO感度を上げて(数値を大きくして)光に敏感な状態(光をより増幅する状態)にすることで、真っ黒な写真を回避したり、シャッター速度を上げることが可能になり三脚を使わなくとも手ブレの少ない写真にすることができます。ISO感度をボタン一つ、ダイヤルを回すだけで操作できるようになったことで、様々なシチュエーションで、思い通り(に近い)写真を撮ることが可能となりました。

「ISO感度」表示例

ISO感度は、規格が統一されたとは言え表記の仕方は何種類か残っており、主な表記の方法はISO100、ISO200、ISO400…………といった形で、ISOの後に数字が続くASA式(アメリカ式)の表記と、ISO21°、ISO24°、ISO27°…………と、3°ずつ数字が増えていくDIN式(ドイツ式)などがあります。
日本ではアメリカ式のISO100、ISO200…………の表記が一般的となっています。

光が少ない場所で、ISO感度を下げて撮影すると

写真を撮るときに調整が必要となってくるパラメーターはいくつかあります。それはホワイトバランスであったり、色調であったりするわけですが、それらよりもっと写真の出来を左右するパラメーターが、シャッター速度、絞り値、そしてISO感度の3つです。

シャッター速度

シャッター速度を早くすることで、より速く移動する被写体を留めた撮影ができるようになり、また手ブレの少ない写真になります。反面、取り込める光の量が少なくなり暗い写真になります。

シャッター速度を遅くすると、取り込める光の量が多くなるため、暗い被写体でも撮影することができるようになります。その代わり被写体の動きやカメラが動いて、被写体ブレや手ブレが発生しやすくなります。

絞り値

絞り値を調節することで、ピントの合う奥行きを調節することが可能になります。
ピントを合わせた位置に対してその前後の、ピントが合っているように見える範囲を「被写界深度」というのですが、絞り値を小さくする(レンズを通る光の量が増える)と被写界深度が浅く(狭く)なり、手前や、背景がボヤけた写真になり、被写体をより強調した写真を撮ることができます。

絞り値を大きくする(レンズを通る光の量が少なくなる)と、ピントの合う奥行きを広くすることができ、被写界深度が深く(広く)なり、ピントを合わせている部分の前後もクリアに撮影することができます。

ISO感度

そして、シャッター速度と絞り値の二つを繋ぐISO感度です。
イメージとしては、「シャッター速度と絞り値で決定した光の量を補完する」でしょうか。
光の量がトータルで100になったときにベストの写真が撮れるとイメージしたときに、
設定シャッター速度で得られる光の量が20。
設定した絞り値で得られる光の量が30。だった場合、得られる光の量は
20+30=50
50となり、ベストの写真を撮るには50不足しています。
そこで、ISO感度を1段階上げてやることで、光に対して2倍敏感にすることで、
(20+30)×2=100

光の量が100となって綺麗な写真を撮るのに必要な光に達することができました。
逆に光の量が多くなりすぎる場合(晴天の昼間に絞り全開でシャッターも開けっ放しで撮影とか)には、ISO感度を下げて調整が必要となる場面も出てきます。
以上を踏まえて、表題の「光が少ない場所で、ISO感度を下げて撮影する」を考えていきたいと思います。

光が少ない場所を「体育館」とします。
撮影する被写体は「バスケットボールプレイヤー」とした時に、ISO感度を下げて撮影するとどうなるでしょうか。

動きの早い「バスケットボールプレイヤー」の一瞬のプレーを撮るためにシャッター速度はできる限り早くします。併せて絞り値も可能な限り小さくして光を確保します。ところが暗い「体育館」の中のため、十分な光を確保できません。ISO感度を下げるという縛りのために、そのまま撮影しても暗すぎて上手く撮せません。仕方なくシャッター速度を遅くすることで光量を確保します。

そうして撮れた写真は、シャッタースピードが遅いため手や足や、周りの景色が被写体ブレした写真となりました。

それはそれで動きを表現した写真にはなりましたが、プレーの一瞬を切り取ったようなビタッとした静止画にはなりません。

ISO感度が低いと、適正露出(綺麗に写真撮影できるだけの光を確保できる状態。シャッター速度と絞り値で決まる。)にするためにシャッタースピードが遅くなり、被写体ブレが発生し易くなります。

次に、光が少ない場所を「夜の川辺」とします。
撮影する被写体は「ホタル」。ファインダーを覗いても真っ暗で景色もへったくれも無い状態になっている時に、ISO感度を低くしたまま写真を撮ると、どうなるでしょうか。

おそらく、まずカメラのディスプレイに「被写体が暗すぎます」と表示され、それでも撮影を強行した場合、写るのは真っ黒な写真だけ。シャッター速度等関係なく、圧倒的に光が足りないため、画像として成り立つ写真を撮ることはできません。

光が少ない場所で、ISO感度を上げて撮影すると

同じく、「体育館」で「バスケットボールプレイヤー」をISO感度を上げて撮影してみると。ISO感度を上げることで、速いシャッタースピードでも適正露出になるため、プレーの一瞬を納めた写真を撮影することができます。

その際気を付けなければならないことは、ISO感度を上げすぎると、画像のノイズも大きくなるということです。ISO感度を上げすぎると少ない量の光で画像を作るために、得られた光を増幅する際に発生してしまうノイズも一緒に増幅します。それがザラザラ感(ノイズ)として写真に表れてしまいます。

このザラザラ感(ノイズ)は背面液晶でパッと見ても気が付かないレベルがほとんどだと思います。しかし、背面液晶を拡大表示したり、自宅のパソコンで確認したり、A3以上の大きなサイズでプリントすると一目瞭然にわかってしまいます。

「川辺」で「ホタル」を撮るのも同じです。ISO感度を下げて撮影したときには真っ黒な画像になった写真も、ISO感度を上げることで、暗闇の中に木があって、草があって、川が流れて、ホタルが飛ぶ軌跡を撮影することができます。ですが必要以上にISO感度を上げていた場合、せっかくの写真もザラザラ感で台無しになってしまいます。

「暗い場所ではISO感度は上げて撮影をする。でも上げすぎない。」
で撮影をしましょう。

 ISO感度を上げて、フラッシュなしで撮影すると

暗いところで写真を撮ろうとすると、カメラの撮影モードによってはカメラの判断で勝手にフラッシュを炊いてしまうことがあります。周囲の光量が足りないためにカメラが気をきかせてやってくれているのですが、突然のことなのでビックリします。

しかしフラッシュを炊いても光が届いて明るくなるのはせいぜい2~3m位の距離で、おまけにその明るくなったところに適正露出を合わせるので、例えば遠くの街の夜景を撮ろうと思ってシャッターをきったのに、画面の下の方に明るい足場だけが写って、肝心な夜景は真っ暗で何も写っていないという悲劇が起こります。

そういう場合は、ISO感度を上げて撮影することで、フラッシュ無しでも遠い街の明かりを綺麗に写真に納めることができるようになります。夜景の明かりでもISO感度を上げることできちんと写真に納めることが可能なのです。その際は手ブレ防止のために三脚を使って撮影することと、感度は上げすぎないことをお勧めします。

「ISO感度」を上げ過ぎると画質が悪くなる?

「ISO拡張感度」の意味

ISO感度は3つに分類することができます。

・ISOベース感度(ISO基準感度)
・ISO常用感度
・ISO拡張感度
の3つです。

・ISOベース感度(ISO基準感度)

ISO感度を上げることでノイズも目立つようになり、画質が悪くなるということは上記の通りですが、画質を優先した一番の低感度が、ISOベース感度です。一般的には、カメラに設定されている対応ISO感度範囲の最低値がベース感度に当たります。

最近では、より条件の悪い(暗い)ところでの撮影を求められる結果、高感度域をカバーさせるために最低値であるベース感度は上がっていく傾向にあります。

・ISO常用感度

カメラメーカーが「この位のノイズなら問題ない」と判断した範囲です。
下限はISOベース感度からはじまり、カメラの「ISO感度オート」モードの設定範囲が常用範囲というカメラが多いです。

・ISO拡張感度

問題のISO拡張感度ですが、これはカメラメーカーが、「ノイズが目立って見苦しい写真になりますが、一応撮れないこともないですよ」と判断した範囲で、ISO常用感度より低感度、高感度に設定されています。

注意すべき点は、このISO拡張感度も上記の常用感度にも、国や業界で決められた規格や基準は存在せず、あくまでもカメラメーカーが独自の基準で設けたものだということです。
なので実際に写真を撮ってみて、常用と拡張の境界は自分で判断し設定をしてください。「常用感度の範囲だけどノイズが気になる」だとか、「拡張感度だけどこれくらいなら問題ない」といったことも十分にあり得ると思います。

低感度側の拡張はNG

ISO感度とは、光が不足しているときにその不足分をセンサーの感度を上げることで補うものです。その際にノイズの増幅も一緒に起こってしまうために、画質は悪くなってしまいます。

であるなら、逆に光が多くなりすぎるような環境で、ISO常用感度を低感度側に拡張してISOベース感度より更に小さな設定で撮影をすれば、よりノイズの少ない、画質の良い写真になるのでしょうか。残念ながらそうはなりません。

メーカーが設定したベース感度から、下側に拡張する場合であっても、「わざわざ感度を落としている」という扱いになってしまいます。ISO100が基準となっているカメラをISO50に「減感」したとすると、理論上ISO100に対して、二倍の光量を取り込んでいることになります。そして二倍の光量で適正露出であれば、おそらくこうであろう、と修正を施したものがISO50の正体なのです。

ISO100が何の手も加えずにありのままの状態だとしたら、ISO50は、わざわざその倍の時間光を受け取って、写真として適正に見える明るさに修正している状態になります。わざわざ不自然な処理をしているだけで、適切な光量を取り込んでいる訳ではないので、画質がよくなるといった効果は見込めません。

メーカーが推奨する「基準感度」がベスト

ISO感度が100から200、200から400と、倍々に増えていくと、必要になる光量は、半分、さらに半分と減っていき、カメラの性能によっては基準値の1/1000や、1/2000の光量であっても撮影が可能です。

しかし、それもノイズとの綱引きです。一番ベストの写真が撮れるのは結局メーカーが設定しているISOベース感度(ISO基準感度)であることに代わりはありません。できる限りISOベース感度(ISO基準感度)に近い設定で撮影できるように設定を調整していきましょう。

上級編:「ISO感度」の使い方

ISO感度を下げて、「ブレ」を作品にする

手ブレ(写真全体がブレている)は誰が見ても失敗としか見られませんが、被写体ブレ(被写体の一部がブレている)であればそうはなりません。被写体の動きであったり、速さを表現することができます。

被写体ブレは、シャッター速度を遅くすることで撮影できます。シャッターが開いている時間を長くすることで、その間の動きを写真に写し込むのです。そして、シャッターが開いている時間が長くなるとレンズを通る光の量も多くなるため、写真が明るすぎて色彩が白く飛んでしまうことになります。

そこでISO感度を下げることで、本来だったら明るすぎて白飛びしてしまう光量をちょうど良い光量になるようにセンサーを鈍化することができます。ISO感度は、暗ければ上げる。明るければ下げる調整で、絞り値とシャッター速度だけでは埋められない明るさの問題を、感度を変えて解決してくれます。

ISO感度を調整して、躍動感や動きを撮影

どのような写真に人は躍動感や動きを感じるでしょうか。例えば野球のバッターを被写体としたとき、バットにボールが当たった瞬間をビタッと写していたら、とてつもない躍動感を見る人は受けるでしょう。

決定的瞬間を切り取るには、シャッター速度を上げましょう。しかしその場合光の量が少なくなってしまうため、ISO感度は上げて、光に敏感にします。今度はバッターのスイングを被写体にして、スイングの軌道を被写体ブレで表現できれば、スイングの速さと動きを撮影できます。

被写体ブレを撮影する場合は、シャッター速度を遅くしましょう。その場合は光の量が多くなってしまうので、ISO感度を下げて、光に鈍感にします。ISO感度を調整すれば、止めたり動かしたり、自在に写真を撮ることができるのです。

ISO感度を上げれば、動く被写体でも「ブレない」

ISO感度を上げることで、必要となる光量が少なくなり、シャッター速度を上げることが可能となります。シャッター速度を上げれば、動き回る被写体であっても被写体ブレをせずに写真に撮ることができるようになります。その際に気を付けることは、暗いところで撮影するのと同様に感度を上げすぎるとノイズも目立つようになってしまうため、できる限り低い感度で撮影できる感度を見つけることが重要となってきます。

まとめ 「ISO感度」の仕組みを理解して、写真技術を磨こう

ISO感度は、シャッター速度と絞り値の調整だけでは埋められない光量の過不足を、センサーの感度を調整することで補填する役目を持っています。

ブレない写真はシャッター速度を上げるので光量が少なくなる→ISO感度を上げる

ブレる写真はシャッター速度を下げるから光量が多くなる→ISO感度を下げる

普段はISO感度の調整はカメラ任せという人がほとんどだと思います。ISO感度調整の理屈を覚えて、そのさじ加減をあえて手動で設定して撮影することで、写真の技術を磨いていきましょう。